Canon Serena 50mm F1.8 レンズの構造と修理工程解説コンテンツ

Canon Serenar 50mm F1.8

Canon Serena 50mm F1.8というレンズ

Canon Serena 50mm F1.8というレンズは今から、半世紀以上も前にLitz社が、製造販売したバルナック型のフィルムカメラの標準レンズとして世にデビューしました。50mmの同規格の機種は、もう一種類あります。

レンジファインダーカメラ
Canon バルナック型 レンジファインダー フォーカルプレーンシャッター式 フィルムカメラ

見分け方としては、レンズの鏡胴が黒色の個体と銀色の個体の2種類に大きく分類されます。今回解説する機種は、銀色の鏡胴タイプの機種となります。もちろんマウントは、L39規格でスクリューマウントです。

レンジファインダーのフォーカルプレーンシャッター式フィルムカメラのマウント形状がL39スクリューマウントですから、レンズのマウント形状も当然ですが、L39スクリューマウントになります。スクリューマウントはL39マウントの他にM42マウントレンズが存在しますよね。

Canon Serenar 50mm F1.8
Canon Serenar 50mm F1.8
Canon Serenar 50mm F1.8 (黒鏡胴)
Canon Serenar 50mm F1.8 (黒鏡胴)

M42スクリュー規格のマウントレンズは、レンジファインダーフィルムカメラの次世代に製造販売された1眼レフフィルムカメラのマウント形状がM42規格だったので、当然の話ですが、レンズのマウントも1眼レフフィルムカメラのマウント形状に合わせる形となりM42規格のスクリューマウントが製造販売されていくという歴史の経緯を辿ってきました。

この辺の話は別のページでもう少し詳しく解説しておりますので、興味のある方は関連コンテンツをご一読下さい。

Canon Serena 50mm F1.8というレンズの修理手順

Canon Serena 50mm F1.8という機種は、何度も解説してきましたが、L39マウント規格のレンズの仲間になります。このタイプのレンズは、全てでは無いのですが、構造が共通している機種が多いです。

この章では、この機種に関しての修理する際の手順を画像と文章と動画でなるべく詳しく解説していきたいと思います。その際に必要な治具溶剤に関してもどこで入手出来るのか、値段はいくらぐらいなのか、整備する際のポイントや大切な事柄についてもなるべくわかりやすく解説していきますので同機種をご所有の方で、ご自身で整備して良い状態を保ちたいと思っている方はもしかしたら参考になるかもしれません。

修理手順①

レンズにはレンズ本体と付属品がありますよね。付属品は一般的にはフィルター、フロントキャップ、リアキャップ、フード、マウントアダプターなどがあります。

付属品の説明
Canon Serena 50mm F1.8 付属品の説明

この章ではレンズ本体の修理手順を文章、写真、解説補足動画でなるべく詳しく解説していきますので付属品に関してはご自身で綺麗にするなどして大切に所有してください。

修理手順②

上記写真の様に今回修理したレンズは付属品としてフロントキャップとフィルターがありました。レンズ本体の修理を解説していきますので、これからいよいよこのレンズの鏡胴内部に侵入していきます。

付属品の説明②
Canon Serena 50mm F1.8 付属品の説明②

この様に写真一番右側の黒い金属部位を一番最初に取り外します。この部位は、レンズの鏡胴を大きく分けて2つに分かれているパーツを合体させる役目を持っています。通常の単焦点レンズの場合はレンズ対物側からアクセスする手順が一般的なのですが、L39マウント規格レンズの場合はマウント側からアクセスする手順になります。上記写真はその黒い接合部位を上から撮影した写真ですので、ちょっと解り難いかもしれません。取り外し前の別の角度から撮影した写真を掲載しておきます。

Canon 50mm F1.8 接合リング
Canon 50mm F1.8 接合リング

取り外す前はこの様にリア側に組み込まれているので、この部位をゴム治具等を使って反時計回りにまわして取り外します。

Canon 50mm F1.8 接合リング①
Canon 50mm F1.8 接合リング①

この様に1cmくらいの幅のある丈夫な大きめのリングになります。

ゴム治具
ゴム治具

この様なゴム治具を使います。接合リングの外径と規格が合うゴム製の治具であれば何でも良いと思います。ちなみにAmazonさんでNet購入も出来ます。バナーを貼っておきます。

修理工程解説動画 その①

今までの修理手順を写真と文章で解説してきましたが、補足として動画にて1連の流れを収録しました。3分間ぐらいの短い動画になりますが、併せて学習して下さい。

修理手順その③

それでは、更に進んでいきましょう。レンズの鏡胴の大きな2つを結びつけていた、接合リングを外す事が出来ました。ここから先は2つの大きな塊を取り出してフォーカス調整機構だけが組み込まれている部位=Aと絞り羽根ユニット機構と光学系ガラス玉が複数枚組み込まれている部位=Bの2つに分ける事が出来ます。

Canon 50mm F1.8 順番に分解した写真
Canon 50mm F1.8 順番に分解した写真

場合によっては、2つの部位に分けた時に真鍮素材で出来た500円玉よりちょっと大きい真鍮素材の金属の輪っかがポロッと落ちてくる事もあるかもしれませんが、心配要りません。この様な状態になった後にAの部位を修理します。

真鍮素材の金属輪っか
真鍮素材の金属輪っか

そしてその後、Bの部位を修理します。それではAの部位の修理の手順とBの部位の修理の手順を順番にそれぞれ詳しく解説していきます。

A=フォーカス調整機構だけが組み込まれた部位の修理手順

前述しましたが、Aの部位にはフォーカス調整機構だけが組み込まれています。撮影しようと思ってピントを合わせる時にフォーカス調整ダイヤルを回して実写するのですが、トルク感が重く感じたり反対に軽く感じたりした事はありませんか?

また、至近距離から無限遠の領域で調整ダイヤルを回した時にどこかの箇所で引っ掛かりを感じるレンズも散見されます。この様なフォーカス調整機構に支障があるレンズの場合は、このAの部位を修理する事によって課題が解決します。

その具体的な方法は、文章と写真だと中々お伝えしにくいので別途動画にて補足解説します。ここではフォーカス調整機構に支障がある場合は、このAの部位を修理するんだな、程度の理解で大丈夫です。それでは次にBの部位の修理を文章と写真で解説致します。

A=フォーカス調整機構が組み込まれている部位①
A=フォーカス調整機構の正面写真
A=フォーカス調整機構の螺旋状部
A=フォーカス調整機構の螺旋状部及び横からの写真

B=絞り羽根ユニット機構と光学系ガラス玉が複数枚組み込まれている部位の修理の仕方

Bの部位はこの見出しの様に絞り羽根ユニット機構と光学系複数枚のガラス玉が組み込まれています。絞り羽根調整ダイヤルを回した時にそのトルク感がとても固かったり、絞り羽根フィルム本体が開放状態のまま、動かなかったりするレンズを見た事はありませんか?そういう支障を抱えているレンズはこのBの部位を修理します。

また、この機種に限らず、製造から半世紀以上経っているOLD LENSは今に至るまで途中で整備を施していないと必ず埃やカビといった付着物が付着しているのが、実情です。光学系付着物は、撮影にはあまり影響はないのですが、どこかのタイミングで一度整備して綺麗な状態にしておく事をおすすめします。

この様な光学系付着物の課題を抱えているレンズはこのBの部位の中に組み込まれている、複数枚のガラス玉を1枚ずつ取り出して専用のクリーニング溶剤で綺麗にしてあげる事でスカッと抜ける様な眩しいレンズに復元します。

但し、カビの付着期間が長期化しているレンズはカビそのものを除去出来たとしても、除去後の腐食痕が残ってしまうケースがあります。見た目はあまり良くないのですがこの腐食痕は撮影に影響はありません。レンズの様な光学機器は未使用期間が長期化すると随所に支障をきたしてしまいますのでご所有のレンズはなるべく頻繁に使っていただけます様、ご留意お願い申し上げます。

B=絞り羽根調整機構と複数枚のガラス球が組み込まれている部位①
B=絞り羽根調整機構と複数枚のガラス球が組み込まれている部位の全体写真
B=絞り羽根調整ダイヤル部の掃除箇所
B=絞り羽根調整ダイヤルの汚れを除去する箇所

Aの部位同様、このBの部位の修理工程も文章と写真だけだと中々、内容がお伝えにくいので別途解説補足動画を収録してなるべく分かりやすくお伝えします。

このレンズで撮影した写真集

花
花の写真
ガードレール
後ぼけガードレールの写真
植物写真②
前ボケをした写真

上記、3枚の写真以外にもスライドショー形式で動画として収録しました。音楽も入れた、5分程度の動画となりますのでお楽しみください。

絞り羽根とシャッタースピードで明るさを調整する事が露出だとわかりました。